経営者の資質②~コンサバであること

商社の本懐

昨日会社経営者の資質の第一として「夢を持つこと」と書きました。

それ以外にも、社長の資質にはいくつか重要なことがあります。昨日書いた「夢」の話は、その人の人生観や世界観に関連する問題でしょう。今日は別の資質について考えてみたいと思います。
その命題は、「社長はコンサバティブ(保守的)でなければならない」ということです。とくにベンチャー企業の社長はそうあるべきです。

「ベンチャー・スピリッツとは石橋をたたいて渡ることである。」

これは私の経験上の持論です。さらに言えば、ベンチャー企業の社長こそほんとは安定志向の小心者であるべきだと定義したい。それは、でなければ成功などおぼつかないと私は信じているからなのです。 
ベンチャー企業と云うと、世間のイメージは、石橋などたたかない、新しい事業分野で一か八かの大勝負をして、運と実力で栄光を勝ち取ったものが、成功を収めたベンチャーであるというイメージがあるけど、それは完全に間違っていますね。それは成功したベンチャーではなく、成功したギャンブラーにすぎないと私は考えます。

そして、世の中にはもう一つの人種がいます。それは、石橋をたたいても渡らない人たちです。この人たちは、実は大手企業よりも、中小企業の経営者や管理職に多いような気がしますが、この人たちは、一応は石橋をたたいてみるのですが、結局は、石橋を渡った想像にあれこれ議論を尽くすものの、石橋をたたいたところで決して渡らないのです。
「石橋をたたいたら渡りましょうよ、でなきゃそのうち、大きな地震が来て橋が崩れちゃいますよ」とこの類の人たちに私は言いたいのですが、彼らは決してわたりません。

社長の資質は「コンサバティブであること」といいました。それは、石橋を叩いて渡る、もっと言えば石橋を叩いたら必ず渡るという程度のコンサバティブさです。とりあえず渡らない人は問題外です。
私が言いたいのは単純です。
「石橋は叩いて渡れ。でも叩いたら渡る勇気を持て!」ということです。いろんな分野でいろんな技術やアイデアが陳腐化する速度が増している昨今。ビジネスチャンスを逃さないためにはこの勇気は非常に重要です。

いろんなアプローチの方法がある中、まずは石橋を見つける。そして石橋を見つけたら、まずは叩いてみる。叩いた上で、確信を得たら必ず渡る。これは実は大変難しいことかもしれません。

まず、むつかしいのは石橋を見つけることでしょう。そのうえでさらにむつかしいのは、その石橋を渡る勇気を持つことでしょう。なぜなら上述したように経営者は、その資質として、コンサバであるべきだと思っているからです。臆病者であるべきといっても過言ではないと思っています。

でも臆病者であるからこそ持てる勇気もあると思うのです。