遥かなるヤマト~箸墓幻想

紀行・歴史探訪

先週3連休を利用して奈良三輪明神(大神神社)にゆきました。
JR奈良駅でレンタカーを借りて山辺の道沿いに1時間弱のドライブです。
合計三日も費やして三輪さんだけ、ピンポイントの旅だったのに、それでも自分の今の体には負担がとても大きかったらしく、翌火曜日には高熱を出してそのまま入院。今も入院中です。退院まではあと一週間程度かかるようです。
この三連休の旅行にわざわざ大神神社(おおみわみんじゃ)を選んだのは、当然その霊験あらたかな神社にお参りするためでした。(いわゆる神頼みというやつです。)それともう一つ理由があって三輪そうめんを食べたいと思ったことでした。(べつに三輪まで行かずとも今の時代、お取り寄せというものがあるのですが、どうしても三輪まで行って三輪そうめんを食べたかったのでした。くだらないこだわりです。)特に最近、抗がん剤の影響か味覚がおかしくなって、匂いの濃い食べ物をあまり受け付けなくなってしまっているのですが、そうめんはなんとかそうめんの味のまま食べることができるのです。

さて前置きが長くなりましたが、箸墓です。
奈良から天理を抜けて桜井市にある三輪明神まで車を走らせると、その途中に巻向(まきむく)という地名のところを通ります。巻向遺跡という弥生の集落遺跡が有名でその集落遺跡が邪馬台国の中心地ではないかと比定され邪馬台国畿内説の中心的存在です。そして、その巻向遺跡に隣接する位置に箸墓(はしはか)があります。

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箸墓

箸墓は宮内庁によると倭迹迹日百襲姫命(ヤマトトトヒモモソヒメノミコト)の墓とされていますが、以前より卑弥呼の墓であろうといわれている陵墓です。隣接する纒向遺跡が邪馬台国であるとするならば、この土地に卑弥呼の墓が比定されなければなりません。

邪馬台国論争と言うのはもう私が物心ついたころから認識しています。論争自体は江戸時代にまで遡るようです。
邪馬台国の位置も、九州説、畿内説、九州も北九州から南九州まで。そして新潟説と言うものまであるようです。

最近の論調を観ると、まず箸墓については、魏志倭人伝に書かれている卑弥呼が死んだとされる250年ごろに合致している事が、数年前のC14炭素年代測定法で推定され、「箸墓=卑弥呼の墓」と言う説が俄然勢い付いてきたように思います。
では卑弥呼は、箸墓に葬られているという倭迹迹日百襲姫命なのかと言うと、これも諸説あり、倭迹迹日百襲姫命以外に、古くから神功皇后(第14代仲哀天皇の妃)だという説や、あるいは倭姫命(ヤマトノヒメミコ:第11代垂仁天皇の娘)だとする説があります。(ちなみに、倭迹迹日百襲姫命は第7代孝霊天皇の娘)
最近は、明治の歴史学者白鳥庫吉や、『古寺巡礼』で有名な哲学者、和辻哲郎氏が言う邪馬台国東遷説が人気があるように見受けられます。(歴史マニアではないので印象に過ぎず恐縮ですが・・・。)それは、古事記等の神話と魏志倭人伝の記述の類似性を指摘する説です。

つまり、卑弥呼=天照大神であるとし、古事記に記述されている神武天皇による東遷を歴史上の事実と捉え、つまり、神武東遷=邪馬台国の東遷であるということのようです。
そうすると邪馬台国はもともと九州にあったということになります。大和朝廷も(その元は)九州にありました。そして畿内に移りました。ん?邪馬台国は九州にあって畿内にもあったということ?卑弥呼の時代に(生前あるいは死後)何かの理由で九州から畿内に移った?つまり邪馬台国=九州+畿内どっちも説?喧嘩両成敗みたいな説です。
面白いですね。
確かに、魏に使わした倭国の使者が、国名を聞かれて、「ヤマト」と言ったのを、先方が「ヤマタイ」と聞きとったのかもしれません。そして王の名を聞かれて、「ヒメミコ(姫命)」と言ったのを「ヒミコ」と聞きとったのだと、私は学生のころからそう信じているのです。あるいは「ヒメミコ」ではなく、本当に「ヒミコ」(日命)と言ったのかも知れない。日=太陽=天照と容易に類推できますね。
いずれにせよ、魏に使いを送った国の名は、「ヤマト(大和)」 それが、九州にあろうが畿内にあろうが、そのことだけは間違いありません。(ちなみに倭国とは中国側が名付けた日本の蔑称です。「倭」とはもともと「小さい」という意味のようです。)

私がもう一つ面白いと思ったのは、もし卑弥呼が天照大神であり、神武東遷が邪馬台国での出来事を指すのであれば、日本国は神話の時代を含めても紀元200年頃(3世紀前半)に発祥したことになります。それは第二次世界大戦前に言われていた日本国は2600年前の紀元前7世紀に興ったという話とは千年も隔たりがあります。(皇紀2600年説)
まあ大体、古事記に出てくる初期の天皇たちが、皆、享年200歳近くだから神話に基づいて計算した人が悪いわけでもないでしょう。在位期間を100年サバ読まれた天皇が10代続くと、千年サバ読むことになるからです。

いずれにせよ、私は歴史マニアと言うほどの知識があるわけでもないですが、素人でも歴史のロマンは面白いものですね。

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箸墓越しに耳成山、畝傍山、そして遠景に葛城山系を望む